海の七月

 ひさしぶりの (陛下と次男 / スタツアの後)

■ 泣いた場合
三ヶ月ぶりのスタツアだった。ああ、やっとかと。お呼びのかからない間のじりじりとした生活が脳裏に浮かんでうっかり目頭が熱くなった。 半泣きの顔も媒介の水にずぶ濡れになればバレはしない――そう思ったのに。 水の向こうに幾度と無く夢に現れたきらきらの護衛が見えた瞬間に、また壊れたように涙があふれた。 きらきらの顔が慌てふためくような見事な泣きっぷりだった――そうだ。


■ 溜息の場合
ひさしぶりだったのだ。それは間違いない。もうひとつのホームグラウンドからお呼びがかからないままそわそわと、日本でのハーフタイムは二ヶ月を越えた。だから足を滑らせた水溜りにするりと吸い込まれて、光の洪水の濁流を突き抜けて浮かび上がった先で、名付け親の顔を見た時に、ほんっとうに久しぶりだなあと、脱力のあまりおおきく溜息をついたのだ。そうしたら、いつもの様に笑みを浮べて俺を迎えた名付け親が、急にくしゃりと顔をゆがめた。「…コンラッド?」ひさしぶりだからこそあれはまいった。壊れそうな程早く打つ心臓ごと抱きしめられて息がとまる。貴方が溜息なんかつくものだから。と、あの顔の理由を聞かされて血が昇った顔は、抱えたクッションに勢い良く埋めてごまかした。誤魔化せなかった気もするのだが今更の話だ。






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はやくだきしめて
( / 20110725)

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