海の七月

 あかごとあひるクリーム (赤子と次男と長男/容器が可愛いクリーム)

にこにこしながら手に取ったその丸い黄色を赤ん坊は器用に開けた所だった。柔らかな香りが微かに香る天然のクリームを、ずぶりと入れた指で豪快にえぐり、そうして手のひらで思い切り掴み取る。手のひらでにちゃにちゃと音を立てるそれに上機嫌だった顔が微妙に不快そうに変わった。待てユーリそれは。愛らしさに内心身もだえながらも、泣き出される前に取り上げようかとグウェンダルが腰を浮かした所に、ミルクを手にした次弟がキッチンから戻ってきた。

「お待たせ……何か?」

グウェンダルは寄せた眉根を赤ん坊に向ける。

「――何なのだ、あれは」

ラグにぺたりと腰を落として、取り落とした黄色のケース前に、クリームでどろどろになった手を服になすりつけながら、赤子はもそもそ身をよじって。

「ああ」

ミルクのビンを兄に押し付けるように渡して、コンラッドは、泣くのかどうするか迷うような顔をした赤ん坊の前にすい、としゃがみこんだ。

「ユーリにはまだそれは必要じゃないね」

あーともうーともつかない言葉を発しながら見つめる赤ん坊に、保湿クリームだしね、と甘い声で次弟はささやきかける。じゃあ何故そんなものを買ってくる…! と言う兄の叫びは口には出されないままだだったが、察した弟は赤ん坊を宥めるように抱き上げながら

「ケースが可愛らしかったから喜ぶかと思って」

肩越しに振り向いてにっこりそう微笑んだ。その顔の向こうにくるりとした黒い目だけが見える赤ん坊に、また口元を押さえて身悶える。立ち上がるコンラートの足元に取り残されるのは黄色いあひる(…の、クリームのふた)。この家にはあひるのおもちゃが溢れている。赤ん坊の好みと言うよりは単に次弟の趣味で。そしてどんなに可愛らしいとしても、今は見事にスルーだ。エプロンのポケットから出したウェットティッシュでいつの間にか赤ん坊の手は綺麗にぬぐわれている。なんとも素早い優秀なベビーシッターだ。 コンラートに抱かれてあっと言う間に機嫌を直した赤ん坊が何かを求めるようにもぞもぞと動いた。その前にミルクを差し出してやったグウェンダルは、赤ん坊にミルクを与え始めた次弟から離れて、赤ん坊にウケたのかどうかは今の所は不明な、ラグに落とされた丸い黄色に蓋をして、アヒルの顔を取り戻してやった。









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他人様が買った容器がたいそう愛らしかったので発作的に書いたwww
ツイッタはあちこちからふいうちの刺激が来るのが楽しいと思う。
あと診断系がたまに神がかっていますね……!
(20110416 / 20110725)

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