海の七月

 晦の夜 (新年前/護衛と魔王/ふたりでこっそり)

年中行事のひとつですね。涼しい顔で腹の立つ事を言う男は既に身支度を終えて、俺を手伝おうと手を出してくる。せめてもの意趣返しに払いのけてやるとくすくす笑いながら「間に合わなくなりますよ」と来たもんだ。いいからそっちのマントだけ拾ってくれよ。

年末の慌しいスケジュールを駆け抜けながら、かき集めた時間の欠片で部屋の暗がりで俺たちは慌しく互いを確かめ合う。毎年毎年バカじゃなかろうかと思うがやっぱり今年も我慢できなかった。だからこれはもうよしとする。二人だけの年中行事だ。

狭い場所でおかしな力を入れたが為にあちこち軋んでいる体を、ぐるぐると廻した腕と首とで何とかほぐしてゆく。服を調え姿見の前でくるりと回りながら、後ろでもう先ほどまでの余裕の無い表情など見事に消した、礼服の護衛に目が行って、思わず本音を呟いた。

「皆には悪いけど」

早く終わるといいな。行事とか全部。おや、なんて意外そうな声で、鏡越しに俺を見るな。そんな涼しい顔で、そんな保護者みたいな顔で。何だかものすごく腹が立ったので、いじめてやる事にする。

「早く俺であんたを無茶苦茶にしてやりたいよ」

一瞬目を瞠ったあと、血が昇った顔を手で覆う護衛にいちばん悪い顔で笑ってやる。

「寝かさないからなコンラッド」

煽りすぎるとあとで後悔する羽目になるのは承知の上で、身体の内に消せない焔を抱きながら今年最後の魔王の夜に、魔王と護衛は踏み出すのだ。







おまけ
判っちゃいるけどやってしまった。あとで百倍くらいになって返って来て、泣きながら懇願する羽目になる気が凄くするんだけれど、顔半分を未だ手で覆いながら付いてくる護衛に向き直り、その手を顔から引き剥がした。だって見てやりたかったんだその赤い顔を。

でもやっぱり後悔した。アイツのあの…なんと言うか説明し辛い顔を見た瞬間に、すさまじい勢いで俺ものぼせた。。耳まで熱くなったのがさわらないでも判る。鏡がなくてよかった…じゃない。

「ごめん」

これは明らかに俺が悪い。

「……いえ」

ぼそぼそと呟きあいながら、顔から熱が引くまで引くまで隠れた、一室の暗がりで、これから受けるであろう遅刻の叱責を思ってうんざりしながら、うっかりまた年中行事を始めてしまわない距離をとりながら、ふたりで反省中。まだ晦の、夜は明けない。








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毎年こそこそ合間にいちゃついているらしいです
おまいらwwwww
おまけ追加で更に酷いwwww




(20110104)

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