海の七月

 堕ちる天使・昇る悪魔 (天使ユーリと悪魔次男)

side:ユーリ


「重くなったね」

何て酷い事を言うんだろう。ずきりと痛んだ胸の上を握り締めて俯いたまま顔を歪めた。俺が天に帰れなくなったのは他でもない俺自身が彼の側に居たくて、望んでそうして選んだ事であるのだけれど。だからと言って思い出の全てを捨てて他の誰とも二度と会えなくても構わない、とまでは思わなかった。考えすらしなかった。覚悟が足りないと言われればそれだけだけれども。

「……重くなったねユーリ」

思わず言い返そうと抱き上げられた腕の中から顔を見上げる、その先には。

「そんな顔すんなよ」

悪魔のそれは懺悔のように。響く声を震わせながら。そんな顔をするくらいなら言わなければ良いのに。なあ、あんたの方がまるで天使みたいだ。体の重さに震えながら、地に縫いとめる引力を振り切って、うな垂れた恋人の首にしがみつく。

こんなに重くなったからもう大丈夫、俺はあんたの隣に居るよ。




side:コンラッド


俺とは逆であんたはじゃあ少し軽くなったのかな? そう尋ねると、少し困ったように彼は目を泳がせた。

「恥かしながら実は」

きょとんとして聞いている俺から、彼は気まずそうに目を逸らした。

「……風にあおられてよろけました」

頭で理解するのに時間がかかったが、判った途端に噴出した。逸らした彼の頬が赤い。すごく可愛い。驚きました、と言う男は少し不安げだ。じゃあ俺が手を繋いでいてやるよ、と手を握って胸を張った。嬉しそうに笑ってくれたのは良いんだけれどもお互いこんなじゃ困るよな。でも転ぶならいっそ一緒がいい。大丈夫そのうちきっと何とかなるよ。ぎゅっと握った手の向こうで彼が頷いた。ずっと一緒だ。








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sygさんちの天使ユーリとと悪魔次男のイメージで。堕天すると重くなる、みたいな素敵設定を某所から借用。
…逆に次男は「軽くなった」らしいですwww そんな二人で大丈夫かwww


(20110101)

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