ロング・アゴー (大人陛下/バカップル)
ふと思い立って髪を切ってみた。王佐や周囲に知られたらきっと反対されるので、自分でざくざくと何も考えずに切ったらガタガタになった。流石に酷いかと、それでも軽くなった頭に満足して襟足をなでていたら、護衛がやってきて、怒られるかと思えばひどく面白そうな顔をした。そうして俺をそっと椅子に座らせて、ガタガタになった髪を綺麗にととのえてくれた。切りくずを肩から払い落としながらふんわりと、
「何だかなつかしいですね」
目を細めて嬉しそうに笑うので、じんわりと胸が熱くなった。つい、昔よく着せられた学生服に似たデザインの、細身の服も着てみた。着丈が足りない事も、袖が短い事も、見ごろがきつい事もない。残してあったと言う事は、俺の「十分着れるものをひんぱんに替えるな捨てるな勿体無い」と言う指示を守ってくれていた証でもあり、普通に着ることが出来る証明でもあるのだが、微妙な気持ちになるのは否めない。が、まあいい。ついでだ。頷いて、ふりむいた先で微笑みながら見守る護衛の前でくるりと回って、昔に戻ったかのような姿を見せてやる。そうして……、ふと首をかしげた。俺の仕草にけげんそうな表情を浮べる男の手を引いて、目の前にかがませる。護衛の前髪をおろして瞳の星を隠して。
「あんたもな」
くしゃくしゃとかき回したあとに前髪を後ろになでつけて全開にすれば、まぶしそうに細めた瞳には最初から変ることのない銀の星が煌いている。
「あんたもよくそうやって、孫を溺愛するじいさんみたいな顔で俺を見ていたよ」
「じいさんて……」
「うん、だから、昔」
孫を見るような目で見ていた銀の星が違うものを見るようになるまで、そうして今に至るまで。延ばしたり途中で嫌になってばっさり切ったり、トラブルで切られたり、色々あった俺の髪が伸び続ける――間。これは俺をずっと見守る、俺だけの星だ。
胸に抱き込んだ恋人が困惑するのは無視したまま、もう一度瞳にそっと口付けた。

爺さんの様な目で見守るの図www
了
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きっとこのあと次男はお前が着いていながらなんてことだ!とか
皆に責められるに違いないwww
責めは大人陛下の口八丁で回避する予定ですが!
(20101008)